昨年、竜王位を失い無冠となった羽生善治九段。無冠になってから初の公式戦となった三浦弘行九段との第77期A級順位戦の対局で見事勝利を収めました。

羽生九段が段位を名乗って対局するのは1989年12月に行われた第2期竜王戦第8局で六段を名乗ったのが最後だったため、およそ29年ぶりのこととなります。改めてとてつもない長い期間タイトルを持ち続けていたのだなと驚かされますね。


羽生九段、後手番で相掛かりを受けて立つ


本局は三浦九段の先手で相掛かりとなり第1図の局面を迎えました。

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第1図は4四の拠点が大きく先手ペースかと思われましたが、ここで羽生九段が△4三歩と合わせたのがいい手でしたね。

以下▲同歩成、△同銀、▲4四歩、△5四銀と4二の銀を5四に移動させたのが好着想で、将来的に4二に歩を打つスペースを作る狙いです。

これで4四歩の拠点の圧力が緩和され、後手陣に隙のない形となりました。この辺りから形勢も後手寄りになってきたようですね。

そして終盤を迎えて第2図。ここではすでに後手が勝勢となっています。

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 第2図で羽生竜王が△5八歩と打ったのが決め手でした。対して▲3八金と銀を取れば△5九角の王手飛車がありますし、▲同金なら△4七銀打が詰めろとなり後手がはっきり勝ちです。

三浦九段は▲同玉としましたが、以下は△4七銀打、▲同金、△同銀成、▲同玉、△3五桂と一直線に進んで先手玉は寄り形となりました。ここで三浦九段が投了し、羽生九段の快勝となりました。

この△5八歩はいかにも羽生九段らしい決め手ですね。優勢な将棋をこうした軽妙な一手でわかりやすく勝つのが羽生九段の特徴の一つです。

熾烈なA級順位戦、名人挑戦はなるか


A級順位戦は7回戦の段階で羽生九段、広瀬章人竜王、豊島将之二冠が6勝1敗で並ぶというハイレベルな争いとなっています。

はたして羽生九段はタイトル復位に向けて名人挑戦権を獲得することができるのでしょうか。残り2局から目が離せませんね。